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COLUMN

肥満大国-中国

Jun. 2024

2023年8月に“中国肥胖患病率及相关并发症:1580万成年人的横断面真实世界研究”が中国で発表されました。この論文は,中国人民解放軍総病院第一医学中心の研究員達が全国31カ省自治区の519カ所健康診断センターを訪れた概ね1,580万人の健康診断データを基に作成され、最新の中国肥満地図が含まれています。

この調査ではBMI値が25以上~30未満の場合は肥満、30以上は超肥満と定義しています。

この定義によれば、中国では肥満が34.8%、超肥満が14.1%に上り、半数近くが太っている人ということになります。2016年のWHOの発表では、日本のBMI>25以上の割合は28%、中国は48.9%ですので、中国の肥満率は日本のおよそ1.75倍になります。

「肥満率の上下位地域」

中国全体で見ると、北方が南方より肥満及びメタボ率が高い傾向があります。以前も記事にしましたが、主な原因は飲食習慣にあると推察されます。北方が揚げ料理、肉料理を好きな傾向にあり、かつ北方のほうが料理の量が多い傾向があります。

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「性年代別肥満率」

性年代別で肥満率で見ると、肥満率が最も高いのは男性50~54歳、55~59歳で、いずれも48.2%の肥満率を示していました。男女で比較すると、全ての年齢層で男性が女性より高い肥満率となっていることが特徴的です特に35~39歳、40~44歳、45~49歳の層での差が顕著で、女性と比べて10%以上も高い肥満率となっています。特に35~39歳の層では肥満率に19.5%もの差が見られます。論文ではこの差の原因については言及していません。

「生活習慣病の保有数」

今回の報告では中国全体で見ると10.9%の人は生活習慣病がなく健康でした。生活習慣病保有者のうち1種類を持っている人が25.8%が、2種類は30.6%、3種類は22.0%、4種類以上は9.9%であります。

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「生活習慣病との関係」

生活習慣病の罹患率ごとに見ると、どの生活習慣病の罹患率は一般、肥満と超肥満が進むほど割合が高くなっており、肥満と生活習慣病の関係性が示唆されます。

「まとめと考察」

今回使用したデータは最新のものですが、以前記事に掲載した2019年の研究データとは異なるデータソースのものです。したがって、数値の直接比較ではなく、傾向を比較して読み取っています。2019年では北方のほうが南方より肥満傾向にありましたが、2023年になっても傾向に変化はありませんでした。

コロナパンデミックやそれに伴うロックダウンで何か変化があるのかと期待していましたが、今回の論文には特に記述されていませんでした。生活習慣病がない人が10%程度しかないことは驚きです。中国全人民の肥満改善は急務でしょう。特に北方が南方より肥満率が高いことから、北方ではほぼすべての成人に生活習慣病があるのではないかと懸念しています。

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•出所:Chen K, Shen Z, Gu W, Lyu Z, Qi X, Mu Y, Ning Y; Meinian Investigator Group. Prevalence of obesity and associated complications in China: A cross-sectional, real-world study in 15.8 million adults. Diabetes Obes Metab. 2023 Aug 17. doi: 10.1111/dom.15238. Epub ahead of print. PMID: 37589256.

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